「運動神経は遺伝で決まる」「生まれつきで決まる」そんな話を聞いたことはありませんか?各競技で活躍してる有名選手の親もトップアスリートだったなどTVや雑誌の特集で見てしまうと運動神経は、血統のよいサラブレッドのようなものだと考えてしまいます。ですが、研究により「運動神経は、遺伝や生まれ持っての才能ではなく脳からの伝達能力」ということが分かりました。
この記事では、お子様の将来に役立つかもしれない情報を紹介します。
本来、運動神経という名前の神経は存在しません。
私たちの体は、脳から末端の筋肉まで指令を届けることで動かしています。
この指令の通り道になっているのものを運動神経と呼んでいます。
立つ、座る、歩く、物を持つなど、神経の伝達が上手くできているからなんです。
運動神経は運動に関わる動作を脳から末端に向かって指令を伝達する神経回路ということになります。
運動神経そのものは誰にでもあります。
脳からの指令を伝達するスピードでも個人差はみられないといわれています。
では、なぜ運動神経の良し悪しがあるといわれるのでしょうか。
一般的に「運動ができる」「運動神経がいい」と評価されることは、自分の思い通りに体を動かすことができる一連の動作であり、頭ではわかっていてもそれを動作に繋げるのが難しくなると、「運動ができない」との評価になります。
ですが、それは生まれ持った才能ではなく、スポーツを習得する上で必要な動作を反復しておこない、どれだけ脳の神経回路を刺激してきたかによって変わってくるのです。
つまり先天性な才能ではなく、後天的なもので運動が得意になる可能性は誰にでもあるということです。
運動が得意になるには「時期が大切」です。
その時期というのが5歳~12歳まで。
この時期にさまざまな運動を経験することで運動神経が伸びるといわれています。
私たちの体は、成長と同時に神経細胞同士のつながりが発達することで、情報の伝達回路が作られ、体を動かせるようになります。
この神経伝達を神経系と呼び、神経系の発達は早く8~9歳頃にピークを迎えて12歳頃には、ほぼ完成します。
運動が得意になるかは、12歳までの遊びや運動の体験によって決まります。
8~9歳を過ぎても遅くはありませんが、発達のピーク時を有効に過ごすことで、将来世界的に活躍できる選手になるかもしれません。
「私は運動音痴だから・・・」「運動神経が悪いのは親が悪いからだ・・・」と考えている人でも運動神経を伸ばすことができることが分かりましたね。脳からの伝達をよくするためには、体を動かす機会を増やす事やさまざまな運動に挑戦することが大事です。
姿勢の維持や変化、重心移動、リズム感、モノや道具を上手に使用するなど運動の基本動作をバランスよく身に付けることで全てのスポーツの土台となります。
一つの競技にとらわれずに、いろいろなスポーツを楽しみながら経験させてあげることがとても大切です。
今の子供たちは、ゲームや携帯電話、タブレットの普及により外遊びの減少による体力の低下がみられています。
昔のように外遊びで自然に身についていた能力が身につかず、転んでしまったときに手をつけず(手をつくことがわからない、体を支えることができないなど)顔を強打してしまうこともあります。
「自分は運動が苦手だけど、子供は運動音痴になってほしくない」と思う親御さんは多いと思いますので、まずはできることから始めてみましょう。
神経系が発達する時期は親が子供の成長しやすい環境を作ってあげることが大切になります。
積極的にさまざまな運動をさせてあげることが大切です。
運動やスポーツを経験すれば、脳が刺激されます。
スポーツはそれぞれ体の動かし方が違いますので、さまざまなことに挑戦させてあげてください。
神経系が発達する時期だからといっても運動を強制するのはおすすめしません。
子供のなかには、運動が苦手な子、興味がない子もいます。
強制的にやらせても本人からすれば嫌な思い出として残る可能性があります。
苦手な子や興味のない子には、ダンスや芸術、音楽などをさせてあげることも有効的になります。
子供一人ひとりに合った経験をさせてあげてください。
運動を始めるなら、子供自身が好きなスポーツや興味のあることをさせてあげることが大切です。
そうすることで、子供自身も前向きになり楽しんで体を動かすことができます。
本人が好きではないことをさせても長続きしにくいですので、子供がやってみたいと思うことや好きなスポーツを聞いてからいろいろなことに挑戦させてあげてください。
しかし、時期を逃したからといってショックを受けることはありません。
時期が過ぎても運動やスポーツを習得することは可能ですので、あまり意識しすぎずに子供がのびのび運動できる環境を与えてあげてください。
筋力と学力は比例するのはご存じでしょうか。
神経系の発達する時期に体力と学力についての分析もされており、小中学校を対象とした文部科学省による「全国学力・学習状況調査」とスポーツ庁による「全国体力・運動能力・運動習慣等調査」の結果を分析したところ、小学生においては体力が高いほど学力も高い傾向があるという結果が出たようです。
体力が低下すると・・・同じ姿勢を保つのが難しくなり、集中力が低下、話を聞かないという悪循環により勉強が苦手になるかもしれません。
この大事な時期にさまざまな運動を行い、体の動かし方を学ぶことで体力だけでなく学力にも影響があると示唆されています。
神経系の発達する時期の子供たちには体を動かせる、運動ができる環境づくりが教育の一環になるのかもしれませんね。